リクルートメント:収穫逓減から身を守る
狂気というのは、同じことを繰り返して、異なる結果を期待することと言われてきました。これに基づいて、ヘッドハンターである私たちのリクルーティングアプローチのいくつかは狂気かもしれません。
モランダ(アジア太平洋地域の人材紹介会社)の役員が、東京で行われた大手ヨーロッパ製薬会社のある募集会議に出席しました。他社の12人のリクルーターと同じ部屋で、臨床開発チームを率いる医師を見つけるためにどういった課題について聞きました。そのヨーロッパの製薬会社の戦略としては、12社のリクルーターを呼んで、お互いに刺激を与えたり、緊急性と競争感を生み出したりして、採用責任者がヨーロッパに帰る前にそのポジションを埋めることを期待していました。
しかし、採用会議は真反対の効果をもたらしたかもしれません。収穫逓減の法則では、すべての生産プロセスで、生産要素を1つ以上追加すると(他の人材紹介企業を加える)、ある時点で単位あたりの収益が低くなります。インプットのリターン(リクルーターの数)と生産費(ポジションがオープンする期間)の間には逆関数の関係があります。
情報管理は、優秀な人材を見つけるのに最も重要です。複数のエージェントが一つのポジションに人を探すため、それぞれ候補者に何を言っているのか正確的に把握できません。さらに、もし経験が浅い社員にトップの候補者にアプローチさせてしまったら、最も優秀な人材を逃してしまう可能性があります。
トップ候補者が複数のエージェントから連絡を受けるとき、先に仕事を紹介してくれるエージェント、または元々良い関係を持っているエージェントのどちらかを選びます。企業の方は、会社の宣伝になるために、最も候補者と上手く対応出来る優れたリクルーターを使うべきです。
会社が求人に対してマルチエージェントアプローチを使う場合、エージェントたちがは競合がたくさんいるということを知っているため、いい人材を探す、または紹介するモティベーションが低くなり、候補者を採用する可能性もかなり低くなります。エージェントが候補者を紹介する唯一の権利を持っている場合、候補者を採用する可能性が高くなります。複数のエージェントに依頼される求人は、特に優秀なリクルーターに見られないです。彼らがよく候補者の紹介独占権を与えられる訳です。
候補者が同じ役職について複数の会社から連絡を受ける場合、その役割、または会社に何か問題があるではないかと考えてしまう可能性があります。簡単に言えば、マルチリクルーターアプローチは絶望的に見えます。特に候補者が少ないマーケットでは真剣に転職を考える候補者にアピールになるではなくて、彼らの興味を失わせてしまう可能性があります。
企業は、パレート原則を上手く使うようにすべきです。パレートの原則では、作業の80%が採20%のリクルーターによって行われると言います。御社のエージェントはその20%にいる必要があります。彼が御社の求人に専念してくれれば、無事に採用できるはずです。ほとんどの企業は残りの80%のリクルーターと組んで、収穫逓減の法則ならないと期待しています。
また、リクルーター数を減らすことによって、採用コストを下げることも出来ます。複数のエージェントとのやりとりや、不適切な履歴書のスクリーニングや面接ににかかる時間とお金は節約できます。多くの人材紹介会社は、独占紹介の契約を得るために、手数料を下げてくれることもありますので、こっちのほうが賢いかつ経済的なやり方です。