働き方と生きがい
Morundaもオフィスを構える東京、日本橋には、武田薬品、第一三共、アステラス製薬など、日本を代表する製薬会社のオフィスが立ち並びます。そんな日本橋の街は、表面上はあまり変わっていません。ランチタイムにはレストランが満席になり、スターバックスで席を確保するのは至難の業です。
しかし、次世代のエグゼクティブの「求めるもの」に変化が起こっています。社員は、上司に対してより多くのことを期待し、自らの主張を声にすることを恐れません。新型コロナウィルス(COVID-19)は、従業員と雇用主との関係を大きく変えました。かつて日本の労働者は、12時間から14時間の勤務をこなし、忠実にオフィスに通い、デスクで業務を行なっていました。しかし、今では自宅で仕事をすることが当たり前になっています。
最近、面接で候補者が必ず聞くのが、「在宅勤務制度はどうなっているのか」という質問です。私たちのクライアントはすべて、ハイブリッド型の業務に移行しています。人々はオンライン面談を利用して、より簡単に転職活動を行えるようになりました。これは採用したい企業にとっては素晴らしいことですが、人材を会社に留めたい企業にとっては難題となります。
サノフィのような企業の中には、オフィスの面積を縮小し、デスクを定めない「ホットデスク」モデルを採用しています。会社によっては、幹部でさえ自分のオフィスを持っていないことがあります。これはコスト削減の手段ではありますが、多くの人がフレキシブルでオープンな職場を望み、満足していることの表れでもあります。
テクノロジーはコミュニケーションの容易さを可能にしましたが、その反面、社員間の「仲間意識を高めるにはどうすれば良いのか」という新たな課題をもたらしています。ラジオ体操を一緒に行うことで、チームが集い、楽しくリフレッシュする時間を共有することを採用した企業もあります。また、華金と言えば、飲み会が定番でしたが、時間を決めて、同僚とオンラインゲームに興じている人もいるそうです。
コロナは日本の仕事のやりかたを、永遠に変えたと言っても過言ではありません。コロナ禍がはじまった頃は、元に戻るのはいつになるのだろうと考えていましたが、2年半経った今、もう元には戻らないのではと感じ始めました。なぜなら、新しい世代は、現状を受け入れているからです。それは、「生きがい」、つまり生きる目的や理由を重視する人が増えてきたとも言えます。目的がクリアであれば、それに向かって前進することが容易になります。同時に、立ち止まってリラックスすることも大切なのです。
オフィスから離れ、家という自分で溢れた空間で過ごす時間が増えたことで、「生きがい」がどれだけ大切なのか気がついたのかもしれません。