2022年:在宅勤務の長所と短所
2022年もまもなく終わりを迎えます。そんなタイミングで、Morundaでは、86人の管理職を対象に調査を実施しました。「何を今考えているのか?」と題した今回の調査の目的は、世界有数の製薬および医療機器の会社を率いるリーダーたちの考えを探ることにありました。
多くの管理職が共通して感じているのは、「在宅勤務」というニューノーマルの働き方です。多くの人のカレンダーは、ビデオ会議の予定が詰め込まれていることでしょう。そんな会議の在り方について、あるブランドディレクターは「コロナ以前は、少なくとも会議室から会議室へと移動する時間がありました」と言います。「廊下でのちょっとした会話がなくなったのは大きな損失です。オンラインミーティングでは、余白がありません。実際に会ってできる気軽な会話や人間関係の構築がとても懐かしいです。規模の小さな日本法人では、そのような個々での交流が特に重要なのです。」
ある中堅製薬会社のカントリーマネージャーは次のようにコメントしました。「確かに、在宅勤務は非常に柔軟性があります。しかし、文化の発展やコラボレーションの面では理想的ではありません。適切なバランスを見つけることが大切です。そんなベストなバランスを探すために、オフィスの在り方を見直すことが必要です。」
もちろん、管理職の目から見ても在宅勤務はデメリットだけではありません。例えば、あるブランドディレクターは、在宅勤務は柔軟性が高いので、時間の節約になり、ワークライフバランスが取りやすいと言います。「仕事の種類にもよりますが、自らの専門知識を生かし集中して何かを作り上げなければならない業務であれば、自宅を最適な環境にすることができ、在宅勤務が最良の選択かもしれません。」
その他の結果に目を向けると、調査対象者の50%近くが、「パイプラインと後継者育成」が大きな懸念事項であると考えています。ある研究開発担当ディレクターは「非常に強いリーダーシップを発揮する優秀な人材が減ってきている」と感じています。しかし同時に、日本のリクルート業界のベテラン2人の意見によると、優秀なバイリンガルマネージャーがかなり増えてきたそうです。
たとえ人材が増えたとしても、日本において「イノベーションの開発と立ち上げの経験を持ち、かつ一般的なグローバルビジネスの概念を理解している有能なリーダーを見つけることは大きな課題である」という製薬会社のAPAC人事担当VPの意見に私も同意します。
数年前、日本企業に対しては「外国人候補者を紹介しても無駄だ」という暗黙のルールがありました。日本は、まだまだ均質な社会ではありますが、日本のトップレベル機関では優秀なバイリンガル人材の数が増えています。データサイエンティスト、UX/UIプログラマー、デジタルマーケティング担当などの需要が高まり、企業はこれらの分野で高い専門性を持つ外国人人材を求めるようになったのです。
在宅勤務でもオフィス勤務でも、会社やチームの雰囲気を良くするために、企業ができることはたくさんあります。失敗してもいい、自分らしくいられるというポジティブな雰囲気は、新しい人材を引きつけ、社員がオフィスに戻ってくることを後押しすることでしょう。2023年が、良い雰囲気に満ちた1年になるよう願っています。