面接過程での偏見をなくすために
リクルーティングというビジネスは、クライアント企業や候補者を、様々な決断を下す過程において導くビジネスです。モランダ株式会社はアジアに拠点を置き、製薬業界を専門にリクルーティングを行う会社です。弊社は、クライアント企業が最も効果的なアプローチでベストな人材を獲得するために、マーケット内の優秀な候補者を発掘します。また、候補者たちには最新のマーケット情報を提供し、転職という決断を下す道のりを共に歩み、サポートします。近年の心理学と行動経済学は、人がどのように決断を下すかについて明るい光を照らしています。ダニエル・カーネマンは、著書『ファスト&スロー』(2011)の中で、人がどのように決断を下すかについて論じ、更にビジネスの場においてはどのように選択が行われるかについて、実践的で啓発的な見識を提案しています。彼の提案は、社内外問わず、リクルーティングビジネスに携わる我々にもあてはめることができます。カーネマン氏は、メンタル面の欠点によって道を外れることなく身を守るために、様々な方法を紹介しています。
誰にもみな偏見があり、時間をかけずに物事を判断することがあります。人間なら誰しもそうです。そして、リクルーターとラインマネージャーが共通して経験する心理現象が、代用です。では、この代用は意思決定の過程でどのように影響するのでしょうか。代用とは、認知バイアスと錯覚の根底にある思考の心理的プロセスの一つです。それは、個人が(ターゲット属性に対して)複雑な判断を下すときに起こり、代わりにより馴染みのある思い込みで代用することを意味します。(ウィキペディアより引用)
事実を探り、見つけ出すために質問するより、自分の偏見を後押しするストーリーを作り上げる方がリクルーターにとっては楽だからです。
例えば、候補者に関する下記の事例について考えてみましょう。
- 彼はアッヴィのヒュミラという薬剤を担当するマーケティングマネージャーです。
- 彼女はシンガポール大学で生化学の博士号(PhD)を取得しています。
- 彼女は現在、日本イーライ・リリーのマーケティングディレクターを務め、かつてはインディアナポリスにあるイーライ・リリー本社に勤務していました。
多くのリクルーターたちは、このような事例を聞けば即座にイメージが沸き、これらの候補者にまつわるストーリーを瞬時に作り上げるでしょう。
過去の経験や偏見から、上記の事例を後押しするシナリオを創り上げるのは簡単なのです。この代用の罠にかかるのはリクルーターたちだけではありません。時にラインマネージャーたちも候補者の学歴や職歴に基づいて早急に判断を下すことがあります。
ではどうしたらリクルーターたちは代用の罠にかかることなく、ラインマネージャーたちの偏見を取り除く手助けができるでしょうか。
ルー・アドラーは、著書『Hire With Your Head』の中でこう提案しています。
- 候補者をスクリーニングする前に、直接本人と対面するか、もしくはレジュメを通してあなた自身の偏見を自覚して下さい。30分は判断を下さずに、意識的な決断をして下さい。
- あるオーケストラでは、偏見を防ぐためにカーテン越しに演奏家のオーディションを行います。電話によるスクリーニングは、このカーテンと同じ役割を果たすでしょう。電話越しの面接では面接官が会話内容に集中することができます。候補者のパフォーマンスに直接関連し得ない外見や活力、その他の表面的な数々の要素に惑わされずにすみます。
- 面接をするときは、自分が話す量の2倍話を聞くべきです。だから私たちには耳が二つあるのに、口は一つしかないのだと言われています。好意を持つ人と話しが弾むのは当然のことです。興奮すると、「なんて素晴らしい候補者と出会ったんだ!」と談笑してしまいます。これはよくありがちなミスです。口を閉じ、耳を傾けて下さい。
- 今あなたが話している相手は、転職のために面接にきた候補者ではなく、コンサルタントだと想像してみて下さい。このパラダイムシフトにより、面接官はより候補者に耳を傾け、対等に接することができます。当然のことながら、面接官は自由回答を求める質問をし、問題解決への糸口を探らなければならないのです。
- ポール・ミールによる研究(『臨床的予測対統計的予測:証拠の理論分析と評価』) でも示されている通り、順序だった面接が最も効果的で、成功の可能性を高めます。標準的な事実に基づく5~6の質問に集中することで、面接官は定量化が可能なパラメーター(母数)を順守することになります。このメソッドを用いたパフォーマンス予測は、本能や直感に基づく予測より正確であることが証明されています。
私たちは人間であるが故に偏見もあります。しかしながら、より科学的なメソッドを用いることで、てんびんを私たちに有利なほうへ傾けることができるのです。
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