43歳のプロダクトマネジャーは、同時に3つのオファーを受け、彼の人生の中で最大の決断を迫られていました。
この経験豊富な幹部は、多大な時間を費やして自分が興味を持つ2社の業務について調べ、厳しい面接プロセスを耐え抜きました。最初のオファーは業界上位5社のグローバル企業からであり、2つ目の話は欧州の小さい非公開企業からでした。その後、土壇場になって、現在勤務している会社がカウンターオファーを提示してきたのです。
最初にオファーを受けた大手企業は、非常に魅力的な供給ルートを持っていましたし、優秀な人材が中途採用の形でこの会社に入社しようと殺到していました。10年以内に、現在上位5社のこのグローバル企業が日本市場で上位3社に食い込んで来るであろうことを誰も疑う者はいませんでした。しかし、その会社が提示したのは、彼の現在の給与より低いものでした。
小さい方の会社は、問題の多い流通ルートを持っていたものの、現在の彼の年俸より200万円高い金額を提示してきました。確かに金額的には魅力的でしたが、実はこの企業は、企業買収のターゲットになっていました。
そこで、彼は、現在の会社からのオファーを検討することにしました。会社は、貧弱な供給ルートと米国で継続中の訴訟等の内在的な問題を多く抱えており、それが日本での低いモラルに拍車をかけていました。昇給と昇格の提示は大変魅力的でしたが、書面で約束されたものではなく、退社について告げられて初めて、会社は彼の才能を評価したようなのです。会社の現在の戦略は、才能ある人材を引き留めるために業界より5~10%多く支払うというものでした。
彼は決断を迫られていました。
給与を取るか、供給ルートか?やはり会社を替わるのか? オファーに対する交渉や分析は、とかくややこしく、又精神的な負担の重い作業です。
彼には、検討しなければならない点が数多くありました。
1. 会社の供給ルートおよび成長: これらの観点から判断した場合、この会社はどこに位置づけられているでしょうか?この会社の世界での順位と日本での順位はどうでしょう?これは、日本での機会を判断する上で役に立つ情報です。もし、会社が現在日本では10位だが世界では2番目にランクされている場合、これはこの会社の強力なグローバル資源を背景にして、世界で2番目に大きい製薬市場での素晴らしい機会を示唆している可能性があります。
2. 給与: どうやって現在のポジションと比較したらいいのでしょうか?12ヵ月後に、自分の手元に実際に入ってくる金額はいくらでしょう?残業も考慮に入れておきましょう。
3. 縦横のつながり:多くを学び取ることができる人と一緒に仕事をすることになるでしょうか?その人は、信頼のおける相談相手になり得るでしょうか?
4. キャリアの発展: 3~5年後にあなたはどこにいるでしょうか?新たなスキルを学ぶ、課題に挑戦する、人を管理する等の機会があるでしょうか?
5. 成果: 自信を持ちましょう。新しい会社で、何を達成することができるでしょうか?3~5年間であなたが達成することができるのは何でしょう?
前述のプロダクトマネジャーは、3つのオファーを分析し、結局収入は少ないけれども機会の多いグローバル企業を選びました。
彼は、43歳にして、大ヒット商品に取り組む機会がある有力なマーケティング会社に転職するのは今しかないと感じたのです。それに成長企業で経験を積めば、将来、小企業での高い給与も約束されたも同然です。
彼は、現在の会社からのカウンターオファーを直ぐに却下しました。「少なすぎる、遅すぎる」と考えたのです。それに 「なぜ退社しようとしている今になって、昇進の話が出てくるのか?」
と会社に対して疑問を感じたからです。
この意思決定プロセスを助ける一つの方法は、あなたの人生を3~5年後まで先送りして考える方法です。何をしていたいですか?あなたの雇用水準はどこですか? どのような仕事の環境を望みますか?
成長と機会は比例します。 急成長している会社には、より多くの機会や早い昇進の機会があります。このような会社では、常に新たなポストが作られてゆきます。成長していない会社の従業員は、年長の人が退社するか退職するのを待たなければ昇進できません。このような場合、ひとつの職位の争奪戦が繰り広げられます。
変化し、成長している会社は、他社から優秀な人材を引き付け、最も魅力的な仕事の機会を与えてくれます。成長企業の文化は活気にみなぎったものです。新たな企業や商品の買収により、新しい企業文化がもたらされ、それは成長企業の「流動的な状況」という性質に加えられるのです。以下は、あなたの考えをはっきりさせるのに役立つ4つの質問です。
1.その会社は成長していますか?
2.そこには新たなポストがありますか?
3.その会社は、新たな人材の採用や事業の買収によって変化していますか?
4.会社の流通ルートはしっかりしているでしょうか?