死の淵に立ったこと。その経験から学んだ5つのこと (Near Death At Singapore General Hospital And Five Lessons I Learnt)

2016年5月、私は激痛に苦しみ、持病の潰瘍性大腸炎(2004年診断)の状態を診てもらおうとシンガポール・ジェネラルホスピタル(SGH)で大腸内視鏡検査を受けました。検査をして、一定期間のステロイド治療をすれば痛みも治まるものと思っていました。ところが目を覚ますと、胃腸科の医師は、病院からの呼び出しで慌ててかけつけ動揺を隠せない妻の横で、まるでレモンを吸ったかのようなしかめ面をしていました。そして、医師からは大腸の炎症が深刻であることを告げられ、その場で入院が決まりました。

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実をいうと、シンガポールへの渡航に先立って、慈恵病院で炎症の治療を受けていました。しかし、担当医は症状を大幅に読み違え、薬も十分に処方してくれませんでした。今思えばこの時点で入院すべきだったのに、それどころかシンガポールへの渡航許可がおりたのです。


  1. 直感を信じる

  2. 私の場合に至っては、まさに文字通りです。もし仕事で何かおかしいと感じたら、一旦立ち止まり、ぼんやりと意識している感情と向き合って下さい。最初に感じた違和感を無視しないで下さい。私の場合「妻の言ってることは正しいだろけど・・・。」という態度が後の困った結果につながったのです。潜在意識は絶えず働いていて、虫のしらせ、ひらめき、直感という形でサインを送ってきます。そのサインを見逃さないで下さい。マインドフルネス、祈り、メディテーションが、意識と潜在意識をつなぐ架け橋となることもあります。

    3週間に及ぶ積極的なステロイド治療と一連のインフリキシマブ(レミケード)投与もむなしく、どちらからも持続する効果は得られず、大腸の炎症は今までにないほど深刻な状況に陥っていました。医師からは、大腸摘出以外に残された道はないと宣告されました。その告知と、ストーマ(人工肛門)バッグ(外科手術で腹部の表面に穴を開け、そこから腸管の端を出し、そこに便を受ける袋を着けること)で生活することになる自分のイメージが頭の中でグルグルと渦巻きました。 妻はセカンドオピニオンを求めようと言いました。私達は院外の医師の意見を求め、シンガポール・マウントエリザベスホスピタルの胃腸科専門医の診察を受けました。医師はとても丁寧に手術の手順や、長所と短所を説明してくれ、私の気持ちは楽になりました。そして私は手術を受ける決心をしたのです。


  3. 外部の意見を求める

  4. 大事な決断をする前に、不安や恐怖心を話し、時間を惜しまず助言を求めて下さい。不安と向き合い、助言を求め、正しい情報を集め、毅然とした態度で決断するのです。

    手術自体は成功でした。しかし、術後の回復はそうはいきませんでした。吐き気、嘔吐により体は食べ物を受け付けず、体重が急激に減少し始めました。その後、肺に感染症が見つかり、肺炎にかかっていることが分かりました。ストーマバッグからは出血が続き、手術前にいた高度ケア病棟にまた戻されてしまいました。そして、事態はさらに悪化していきました。辛かった6月が終わり、更に耐え難いことになる7月がやってきました。容態は悪化し、前途多難でした。

    痛みが増し、モルヒネの量も増え、輸血が施されました。血圧は危険な数値に達していました。友人達が海外からお見舞いに来てくれました。恐らく最後の別れを言いに来たのでしょう。そして妻グラディスと私は涙を流し、神に祈り、導きを乞いました。妻は、諦めないで闘ってと私にすがりました。フランシスコ神父(St Mary of the Angels教会)の助けと神の恵みのおかげで、私は残された力を振り絞って闘い続けました。そして日に日に事態が好転していきました。

    私は、最近になってストーマバッグを装着することになった患者の支援グループに参加する機会を得ました。大半が結腸癌を克服した患者さんたちで、ほぼ全員が、闘い続ける心の支えに大きな力が影響したと語っていました。彼らの信仰は様々で、中には無宗教の人もいましたが、全員が何らかの力に助けられて生き延びることができたと信じていました。私は同じ境遇を分かち合える良き友を見つけました。


  5. スピリチュアリティの重要性

  6. Googleは「サーチ・インサイド・ユアセルフ(あなたの内面の探求)」というコースを社内で提供しています。そして、このコースが好評だったので初級者向けに「脳内自己解析」や「自己エネルギー管理」といったコースを新たに設けました。ウェブ検索の大手が、またもやウォーキングメディテーションの迷路を作り上げたのです。eBayは社内に枕や花を備えた瞑想用の部屋を作り、TwitterやFacebookも同様にマインドフルネスの為のプログラムを用意しています。  ハワード・シュルツやスティーブ・ジョブズ、ジャック・マーのような時代に名を残す彼らが最高の指導者と呼ばれるのは、地位や、権威、見た目や性格、マネージメント能力や遺伝によるものではありません。彼らは周りの人たちに明るい未来を切り開き、どんなに険しい道のりも、決して諦めなかったからです。

    私の容態は落ち着き、先の長い地道なリハビリが始まりました。通常75キロの私の体重は30キロまで落ち、歩くことも出来なくなり、シャワーを浴びたり服を着たり、基本的なことも自分ひとりでは出来なくなりました。喉の筋肉は呑み込み方を忘れてしまいました。この事態に私は打ちのめされ、どうやったら再び元の生活を取り戻すことができるのかと不安でいっぱいになりました。しかし、人生とは、その日一日を生き抜くことの連続で、将来を予測することではないと気づかされました。徐々にですが、歩行補助器を使っての5メートルが20メートルになり、一週間後には杖を使って30メートル歩けるようになり、杖の代わりに妻の手をとって歩けるようになりました。ゆっくりと、着実に体力が戻り、この文章を書いている今現在、疲れずに30分歩けるまでに回復しています。


  7. マージナル・ゲイン(限界利益)の理論

  8. 製品は1週間では市場しませんし、新薬は1年では承認に至りません。どれも時間がかかる作業です。では、成果を上げるにはどうすれば良いのでしょうか。大きな成果は、一つ一つの過程での小さな進歩が積み重なることで、達成されます。この考え方はスポーツの分野でも革命をもたらし、正しく応用されればビジネスにも同じように革命をもたらすことができるでしょう。  毎日自己ベストを更新することが、いずれ大きな進歩へとつながるのです。

    体力が回復するにつれ、私は自分がいかに恵まれているか実感し始めました。最愛の妻、優秀な医師と看護師に囲まれ、死の淵から生還することができたのです。私は恵まれた数々の幸運に気付き、以前より世の中により多くの喜びを見出せるようになりました。


  9. 感謝の気持ちを忘れないこと

  10. アメリカの感謝祭は素晴らしい祝日です。アメリカ出身の友人たちは、全ての恵に感謝してこの日を過ごします。私の故郷オーストラリアでは、感謝の表し方は人それぞれです。なかでも愛する父のやり方が真っ先に頭に浮かびます。幼い頃の記憶ですが、西部ニュー・サウスウェールズ州の埃っぽい農地にある我が家で、父は毎晩ベッドサイドでひざまずき、十字架のついた数珠を手に2000エーカーの所有地モランダに天からの雨を乞うため、神に祈りを捧げました。同時に、9人の子供達を授かった恵みを神に感謝しました。父は感謝の人でした。そして、私にもいつもポジティブな思考を持つよう教えてくれました。

    これがSGHで学んだ5つのことです。そして、いつの日か、この経験にも感謝できる日がやってくるでしょう。



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References

Peshawaria, Rajeev (2014, March 21). Quantum Mechanics, Spirituality, and Leadership.

Retrieved from http://www.forbes.com/sites/rajeevpeshawaria/2014/03/21/quantum-mechanics-spirituality-leadership/#7d5a24cf7484

Syed, Matthew (2015). Black Box Thinking: The Surprising Truth About Success. London: John Murray.

Wooldridge, Adrian (2013, November 16). The Mindfulness Business.

Retrieved from http://www.economist.com/news/business/21589841-western-capitalism-looking-inspiration-eastern-mysticism-mindfulness-business

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