その内定、ちょっと待った (Don’t Accept The Offer)

候補者が内定を受け入れるべきかとリクルーターに問うことは、髪を切る必要があるかと床屋に問うようなものです。「はい」と答えるに決まっています。内定が出たら、候補者は現在の雇用条件と新しく提示された条件を比べて吟味する必要があります。たいていの人は家族や同僚に相談します。

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しかしながら、家族や同僚からのアドバイスには具体的な根拠が欠けていたり、見方が偏っていたり、事実と異なることがあるかもしれません。最終的に自分のキャリアと家族にとってベストな決断をするのは、候補者自身なのです。

では、候補者はどのような場合に内定を辞退すべきなのでしょうか?危険信号は何でしょうか?1979年にカーネマンとトベルスキーが不確実性下における意思決定モデルのひとつであるプロスペクト理論を発表しました。行動経済学に基づく見識です。内定条件を吟味する際、候補者には参照基準があります。候補者は内定をその参照点と比較します。それは現在の仕事であったり、同じ業界で同類の仕事をしている知人や、内定先企業に勤務している知人かもしれません。彼らは内定を参照点と比べて損か得かに分類します。これは参照依存として知られています。候補者たちは、時々彼らのキャリア形成にとって重要な要素を低く見積もることがあります。転職先での新たな仕事の将来性はどうですか?製品のパイプラインは強力ですか?転職先には頼もしい指導者がいますか?候補者は定量的かつ定性的要素を見極める必要があります。評価過程で新しい役職、会社、パイプラインの特徴すべてに妥当な価値が見出せましたか?もし給料に問題がなければ(今より良い、もしくは納得できる範囲なら)、この内定を喜んで受け入れますか?

候補者は損失回避という罠にはまることがあります。得をする喜びよりも失うことによる悲しみを回避したいと思う傾向です。候補者は客観的かつ現実的であるよう努め、断ることを厭わない姿勢を保つことが大事です。恐怖心が影響することもあるので要注意です。数々の反発を退けても転職したいと思う強いモチベーションがあるときは、公平さを見失う可能性もるので気を付けましょう。ここでいう危険信号はあせりです。候補者はこれがまたとない機会だと思い込むかもしれません。ある会社から内定が出たならば、おそらく他からも内定が出るでしょう。自問自答してみて下さい。「もしあなたの友人に同じ内定が提示されたら、あなたはどんなアドバイスをしますか」危険信号はあせりです。

転職は候補者が感情的になる瞬間です。候補者が基準となる項目を必要以上に重視しすぎることもあるかもしれません。行動経済学では、これを非線形確率加重(低確率を過大評価し、高確率を過小評価すること)といいます。 候補者は可能性が低いことを重要視しすぎるあまり、退職の意を示唆したら、約束されていた昇進が提示されるかもしれないと思ったり、逆に、こんな内定は二度とない機会だと思い込むこともあるかもしれません。また、今転職すればこの先の可能性は大いに広がるかもしれないのに、それを低く見積もるがために、もう少し辛抱して待てば、もっと適切な機会がやってくるかもしれないと考えたり、今の会社のパイプラインが将来強力になって、ここにいれば誰でも将来の仕事の可能性が広がるかもしれないと考えだしたりもするのです。

*Kahneman, Daniel; Tversky, Amos (1979). “Prospect Theory: An Analysis of Decision Under Risk”



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